「えっと、あの、それじゃあ……」
「うん?」


 裕一郎が触れている彼女の頬はじわじわと熱を帯び、白く透き通る肌に少しずつ朱色が(にじ)む。
 色素の薄い茶色の瞳が恋幸の心を反映してほんの一瞬だけ揺らぎ、意識を逸らせば聞き逃してしまいそうなほど小さい声が彼の鼓膜をノックした。


「……1日1回、ぎゅってしてほしいです……」
「……」


 良い意味で想像の斜め上を行った彼女の要求に、裕一郎は驚きのあまり(まばた)きを繰り返すことしかできない。