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約3時間後の午前9時。目を覚ました恋幸が隣を確認すると、そこにはすでに裕一郎の姿は無い。
半分眠ったままのぼんやりとした頭で彼の行方を考えつつ、いったんスマートフォンで時間を確認してからようやく「仕事に行ったんだ」と理解した。
「よい、しょ……!」
やっとの思いで敷布団を片付けて記憶を頼りに床の間へ辿り着けば、先に来ていた星川が彼女に気づいて笑顔を向ける。
「あら、小日向様おはようございます」
「あっ、おはようございます!」
「ふふ、可愛い寝癖がついてますよ」
「えっ!? お恥ずかしい……!」