()れたリンゴのように赤く染まった彼女の頬に片手を添える裕一郎は、ひどく優しい声でそう呟いてもう片方の手で頭を撫でる。


「あの、倉本様、」
「はい」
「……もっと、キスしたいです」
「……ええ、喜んで」


 彼はやや前屈みになったまま恋幸の背中に手を回して抱き寄せると、緊張をほぐすかのように頬へ何度か口付けを落とした。
 そして、彼女の肩から力が抜けたのを確認してからゆっくりと唇を重ねる。


「んっ……」
「……」


 静かな室内を、ちゅ、ちゅと小さなリップ音だけが支配して、ただでさえ熱を持つ恋幸の顔が更にあつくなっていくのを感じた。