意味ありげに口角を持ち上げる彼の問いに、恋幸は一度目線を手元に落として緩やかにかぶりを振る。それから、大きな深呼吸をして改めて眼前の青い瞳をまっすぐに見据えた。
こうして夜の帳に包まれた中で見るとまるで自分だけの月が浮いているみたいだ、などと彼女は脳みその端で考える。
「で、では……っ! 失礼します!!」
緊張から体を縮こませる恋幸を案じながらも、ここで「私からしましょうか?」と聞くのは侮辱に近いかもしれないと考えて裕一郎は静かに彼女の行動を待っていた。
「ふーっ……」
恋幸は一つ大きな息を吐き、両手を握り合わせて固く目を閉じるとゆっくり彼に顔を近づける。
こうして夜の帳に包まれた中で見るとまるで自分だけの月が浮いているみたいだ、などと彼女は脳みその端で考える。
「で、では……っ! 失礼します!!」
緊張から体を縮こませる恋幸を案じながらも、ここで「私からしましょうか?」と聞くのは侮辱に近いかもしれないと考えて裕一郎は静かに彼女の行動を待っていた。
「ふーっ……」
恋幸は一つ大きな息を吐き、両手を握り合わせて固く目を閉じるとゆっくり彼に顔を近づける。