(好き、大好きです。私は、)


 この人が好き。
 そう想う事に、後付けの理由など必要ないだろう。


「うっ……倉本様、好きです。好き」
「ええ、知っています。私も、小日向さんが好きです」
「わがまま言ってもいいですか? ぎゅーってしてほしいです」
「はい、喜んで」


 両腕を広げて待つ裕一郎の胸に飛び込んだ恋幸を、彼は苦しくなるほどに力いっぱい抱きしめる。
 互いの体を包む同じ石鹸の香りが、時が経つのを忘れさせる媚薬(びやく)のように思えた。