言いどもっても続きを()かさない彼の優しさが、彼女にとってはまた一つの愛おしさを感じる部分だった。


「……あの言葉が、倉本様の本心だったら嬉しいなって思ったんです」


 裕一郎の前世が和臣(かずあき)でなかったとしても、きっと恋幸の心は彼を欲していただろう。今なら彼女は、自信を持ってそう言える。


「私が聞きたかったのは……私も倉本様に、かっ、かれ……恋仲に! なってほしいですって言ったら、どうしますか?」


 いったいどこが好きなのか? 以前、千から投げられた問いが恋幸の頭の中で反響した。