襖をスライドさせて姿を表した裕一郎は、後ろ手に戸を閉めつつ彼女の顔を見て首を傾げた。
「なな、なんでもないです!」
「……そうですか」
(あれ……?)
床の間で投げられた意味深な言葉により様々な妄想が脳みそを侵食していた恋幸に反して、拍子抜けするほど態度が変わらない彼。
混乱する彼女をよそに、裕一郎は優雅な動きで下半身を布団に潜り込ませると眼鏡を外して枕元に置き、一言断りを入れてから電気のリモコンを操作して常夜灯に切り替えてしまう。
「では、おやすみなさい」
「は、はい。おや……」
現在の時刻は午後11時13分。
挨拶につられかけたが、このままでは全くおやすめない状況だった。
「なな、なんでもないです!」
「……そうですか」
(あれ……?)
床の間で投げられた意味深な言葉により様々な妄想が脳みそを侵食していた恋幸に反して、拍子抜けするほど態度が変わらない彼。
混乱する彼女をよそに、裕一郎は優雅な動きで下半身を布団に潜り込ませると眼鏡を外して枕元に置き、一言断りを入れてから電気のリモコンを操作して常夜灯に切り替えてしまう。
「では、おやすみなさい」
「は、はい。おや……」
現在の時刻は午後11時13分。
挨拶につられかけたが、このままでは全くおやすめない状況だった。