「未成年……?」


 気のせいである可能性を祈りながら彼女が“それ”を反芻(はんすう)すれば、眼鏡の奥にある瞳が何度かまばたきを繰り返す。


「あ、あのー……倉本様って、私のこと何歳だと思っているんでしょうか……?」
「19歳、ですが」


 ショックのあまり気を失ってしまいそうになったと言えば少しオーバーかもしれないが、恋幸の受けた衝撃はそれほどまでに強烈なものだった。

 たしかに、身長こそ155センチと決して高い方ではない。学生時代、近所のおばあちゃんに「童顔だね」と言われた事もある。
 しかし、裕一郎と初めて出会ってから今の今まで未成年に思われていたなどと誰が予想できただろうか?