だが、仮にも恋愛小説を書いて食い繋ぐプロ作家でありながら、恋幸の中では『裕一郎と両思いである事』と『交際する事』がイコールで結びつけられていなかったのだ。
それは彼女の経験の浅さ故に生まれる齟齬であると同時に、裕一郎を慕いすぎるがあまり「彼が私と交際したいと思ってくれるだなんて奇跡が起こる確率は限りなく低い」と勝手に思い込んでしまっていた結果である。
(か、彼女になって頂けるように……!? 聞き間違えじゃないよね!?)
さらに熱を増す頬に両手を置いて混乱する恋幸。
縁人はそんな彼女の顔を下から覗き込み、目線が交わるとにかりと笑って名刺を差し出した。
それは彼女の経験の浅さ故に生まれる齟齬であると同時に、裕一郎を慕いすぎるがあまり「彼が私と交際したいと思ってくれるだなんて奇跡が起こる確率は限りなく低い」と勝手に思い込んでしまっていた結果である。
(か、彼女になって頂けるように……!? 聞き間違えじゃないよね!?)
さらに熱を増す頬に両手を置いて混乱する恋幸。
縁人はそんな彼女の顔を下から覗き込み、目線が交わるとにかりと笑って名刺を差し出した。