財布を持ったまま呆気にとられる裕一郎、ドヤ顔になる恋幸。
 そして――……エラー音の鳴り響くセルフレジ。


「!?」
「恐れ入ります……103円不足しております」
「あっ、えっと、」
「……残りは現金で支払います」
「ではもう一度カードをかざして頂いてもいいですか?」
「はい……」





 チャージする隙も与えられないまま不足分は裕一郎がさっさと支払ってしまい、失態を(さら)したと落ち込む恋幸は店を出て数歩進んでから「すみません」と小さな声でこぼす。