裕一郎とインスタントラーメンという組み合わせがイメージできず、彼女が思ったそのままのセリフを口から落とせば、彼は少し首を傾げつつも律儀に返答する。

 それからドリンクの並んだ冷蔵庫へ向かう裕一郎の後ろを、(かも)の子のようにトコトコとついて歩く恋幸。
 彼女は特に急ぎで確保しておきたい飲み物があるわけでもなかったので、彼の買い物をただ静かに観察する。


「……」


 裕一郎は冷蔵庫の取っ手を掴んでゆっくり開くと、ソダ・ソーダ社のフォンタ500ミリリットルサイズをカゴに入れ、いったん扉を締めて少し横に移動すると今度は綾鳥の280ミリリットルサイズを手に取った。

 同じく『それ』をカゴに投入した後、おもむろに体勢を変えて恋幸に目線を移動させる。