「……そうだ。小日向さん」
「は、はい!」
「3分ほど歩きますが、大丈夫ですか?」
「ぜんぜん平気です! 任せてください!」


 いったい何を任せればいいのかわからないが、裕一郎は深く触れずに相槌(あいづち)を打って玄関の鍵を閉めるとスマートフォンを取り出し、懐中電灯機能で灯りをつけて恋幸に向き直った。


「……大丈夫ですか? やはり車で行きましょうか」
「!!」


 彼の“それ”は暗所恐怖症の恋幸を想っての行動であると瞬時に理解した彼女は、思わず飛びついてしまいそうになった体を理性でむりやり抑え込む。