「……昼休憩ですので。少し、買い物に」
(あっ!)


 そっかなるほどお昼休み! と、恋幸の心は冷静にその言葉を飲み込んだが、なおも軽いパニック状態の続く脳が口から発するために用意したセリフは、


「であろうな……」


 江戸時代に住む武士の『それ』で、恋幸は先程からおかしな言動を繰り返してしまう自分自身が恥ずかしくてたまらない。まさに「穴があったら入りたい」という状況だ。


「……はい」
(返事をしてくださった……っ!!)


 しかし、彼が言動について深く触れないでいてくれることや、ドン引きした様子を見せないことだけは唯一の救いである。