「いいお湯でした……!」
「そんなに改まらなくても……(うち)の風呂なんて、どうせこれから何回も入るものなんですから」
「!?」


 爆弾発言をしているという自覚があるのかないのか。
 定かではないが、茹でダコのように赤くなる恋幸の顔を見て裕一郎は「のぼせましたか?」と首を傾げた。


「い、いえ……違います……」
「大丈夫ですか?」
「だいじょぶです……」


 時刻は10時4分。ここからが、恋幸にとって最大の戦いである。