「小日向さんは、もうお風呂は済ませましたか?」


 床の間に現れた『湯上がりの裕一郎』という兵器の存在だった。


(え……? 美術品……?)


 普段は横分けになっている前髪が下ろされ、いつも3割程度見えていた(ひたい)が完全に隠されたことにより幼さを感じる容貌(ようぼう)
 汗なのか湯水なのか判断に困るが、白い首筋を一筋伝い落ちていく滴。決め手は彼の身につけている紺色の着流しだ。

 一発KO、悩殺不可避である。