恋幸は今世紀最大と言っても過言ではない程のピンチに(おちい)っていた。その理由は2つある。

 1つ目は、つい数分前に星川から告げられたエアコン事情。
 はじめは「暖房が無くたって布団を重ねればヘーキヘーキ!」と余裕ぶっていたのだが、今夜はどれほど冷えるのかチェックするため、暖房の効いた床の間を出て自分用の部屋に向かう段階で心が折れた。
 もうすぐ春になるとはいえ、夜9時を過ぎると厚手の上着を着ていても廊下を歩くだけで寒い。暖房が無くても平気だと一瞬でも考えた愚か者は誰? と腹が立つレベルに寒い。

 そして2つ目は、