脳内に花畑が出来上がる恋幸には、そのすぐそばで星川が驚きに驚きを重ねていたことになど気づけるわけもない。





 星川と恋幸が先に床の間へ向かい夕飯の準備をしていると、手洗い・うがいを済ませた裕一郎が襖の向こうから顔を出す。


「……お二人に全て任せてしまってすみません」
「そんな……! 倉本様は仕事でお疲れなんですから、ゆっくりしていてください!」
「ふふ。そうですよ、裕一郎様。気にしないでください。それに、これが私の仕事ですから」
「……はい、ありがとうございます」