綺麗な眉を八の字にしてそんなセリフをこぼす裕一郎に対して、恋幸は口よりも先に体が動いてしまう。
 勢いよく立ち上がった彼女は両手を強く握りしめ、彼の顔をまっすぐ見据えたまま言い放った。


「い、嫌なわけありません!! すごく嬉しくてどうしたらいいかわからないくらいです!!」


 少しの間、裕一郎はあっけにとられたかのように目を丸くしていたが、すぐに「ふ」と小さな息を吐き両腕を広げる。


「……じゃあ、まず『ぎゅー』ってしましょうか」
「……!!」