大胆すぎる提案をした張本人は相変わらずの無表情で、恋幸は何度か大きな深呼吸をしてから自身の頬をつねってみた。


「……ちゃんと痛い……」
「……? 虫歯ですか?」
「違います……あ、あのっ……え……その、この家に住んで、って……」


 からかっていますか? と聞くのは失礼だろうか。
 そんな考えが頭をよぎり口をつぐむ恋幸を見て、裕一郎は少し首を傾けたまま片手を伸ばし、指先で彼女の前髪を一度撫でる。


「今度はからかっていません。本気で言っています」
「……っあ、の」