少しの間を置いて裕一郎の瞳が彼女を捕らえ、おもむろに伸ばされた大きな手がそっと顎を持ち上げる。

 そのまま、彼は親指で恋幸の唇をなぞりつつ口を開いた。


「それ、意味がわかって言っているんですか?」
「い、み……?」
「……あまり大人をからかうと、本気にしてしまいますよ?」


 どういうこと?
 そう問うために恋幸が唇を持ち上げたタイミングで、聞き覚えのない着信音が室内に鳴り響く。