場の空気が凍りついてしまわないよう恋幸は無理やりに笑顔を浮かべて言葉を放ったのだが、そんな努力も虚しく裕一郎は目を丸めたまま動きを止めており、静寂が二人の間を支配する。

 (みずか)ら“助けてほしい”と(すが)った手前、今さら「なんちゃって! 変なこと言ってごめんなさい! 他の人に聞いてみますね!」と取り消すわけにもいかず、恋幸はあまりの気まずさに胃がはち切れてしまいそうな思いだった。


「そ、その……ほら、あの……社会人って、同棲とか当たり前じゃないですか! 私そんな経験がないので、あの、大人はどんな風に愛を育んでいくのかな~? とか、知りたくてですね!」
「……」