恋幸の心臓が落ち着いてきた頃。

 彼女はタンブラーを手にとって中身のメロンソーダを飲み込んだあと、大きく息を吐いていったん脳みそを冷やしピンと背筋を伸ばす。
 一方で、向かい側に座る裕一郎はまるで何事もなかったかのような涼しい表情でテイクアウトしたコーヒーを口に運んでいた。


「では、これよりっ! 自分は! 本題に入りたいと思いますっ!!」
「……自衛官のようですね」


 びしりと音が鳴りそうな勢いで片手をこめかみ辺りにつけ手のひらを(さら)す恋幸の様子は、まさに裕一郎の言う通り自衛官候補生の“それ”によく似ている。