「どうしました? ほら……息はしてください、日向ぼっこ先生」
「っそ、あの、」
「うん? なんですか?」


 密着しているせいで、裕一郎が低く言葉を落とすたび吐息が少しだけ恋幸の耳たぶを撫でていく。
 何か返事をしようと脳を働かせても、耳の奥まで響く心臓の音が思考回路の邪魔をした。

 まだ3月だというのに、頬が熱くて仕方ない。


「わた、し、あの……く、倉本様に、」
「はい。私に?」