「それでも私に“助けて”ほしくて、電話をかけてきたんですか?」
「へっくっ……は、い……」


 高く跳ねる心臓が、口からこぼれ落ちてしまいそうだ。


「そうですか……いったい、どんな要件でしょう?」
「……っ!!」


 いつの間にか恋幸の真隣に移動していた裕一郎は、片手でそっと彼女の肩を掴み自分の胸元へ抱き寄せる。
 突然の出来事に息を止めて固まる恋幸を見て、裕一郎はバレないよう小さく息を吐いて笑い、彼女の長い髪を自身の人差し指に軽く巻きつけた。