中には「ウサギ? えー……イメージと全然違った……」「男のくせにウサギ飼ってんの!? 気持ち悪い!」と吐き捨てて屋敷から出ていく女性もいたそうだ。
 両親と共に過ごす時間が短く寂しげに見えた幼い頃の裕一郎に「ウサギを飼うのはいかがでしょうか?」と提案したのは星川で、「裕一郎様の交際が上手くいかないのは自分のせいなのではないか?」とひどく罪悪感を抱いていたらしい。

 そして……裕一郎は初めの仕事を辞めた23歳の頃から、突然声を出して笑うことも怒ることもしなくなり、本当に信頼している人間以外は周囲から遠ざけ、他人に対して簡単に心を開かなくなった。