ぼけっとその場で立ち尽くす恋幸に対し、星川は慣れた手つきでキッチンから急須と人数分の湯呑・茶葉や茶菓子を運び、座卓の上に置き終えるなりちょいと手招きをした。


「小日向様。どうぞ、座ってくださいな。緑茶は嫌いじゃない? おまんじゅうは食べられる?」
「緑茶……っ! お、おまんじゅうも! 大好きです!!」
「そう、よかったー! あ……突然あんなことを言ってしまい、申し訳ありませんでした。どうしても、小日向様にお話しておきたいことがあって……」
「話しておきたいこと……?」


 用意された座布団に腰を下ろし首を傾げる恋幸を見て、星川はどこか悲しげな笑みを浮かべてコクリと頷く。