自身に馬乗りになったまま再び涙する恋幸の目尻に口づけようと、裕一郎が首を持ち上げた――……その時。


「裕一郎様、星川です。失礼しますね」


 恋幸が止める間もなく部屋の(ふすま)はストンと開かれ、見知らぬ女性がその向こう側に姿を現す。


「本日のお夕飯、は……きゃっ! あら……?! まあ、ごめんなさい……!」
「……いいえ、こちらこそ」
(……ひゃあ……)


 ああどうか彼女が10秒後には今見たことを全て忘れていますように。
 裕一郎の上に乗ったまま、恋幸はひたすら神に願うばかりだった。