しかしそれは決して「信じられない」や「気持ち悪い」というネガティブな理由ではなく、彼の言葉に対しても恋幸は動かせる範囲で首を横に振る。


「気持ち悪い、とか、そんなこと思いません……! だって、それは、」


 ――……きっと、貴方が和臣(かずあき)様の生まれ変わりだから。

 直前で言葉を飲み込み唇を引き結んだ恋幸を見て、裕一郎はくすりと小さく笑った。
 表情こそ変化していないものの、黒縁眼鏡のレンズ越しに恋幸を映す空色の瞳はひどく優しい眼差しを彼女に向けている。