その先に“居た”存在を認識した瞬間、あまりの可愛さに恋幸は一瞬呼吸ができなくなる。

 8畳のその部屋はエアコンで温度調節がされており、畳の上には大きなカーペットが敷かれ、その範囲外に出てしまわないよう周囲はサークルで囲まれていた。
 そして、奥で扉が開けっ放しになっているゲージの中では、コッペパンによく似た色のネザーランドドワーフがモシモシと一生懸命に牧草を食べている。

 しかし裕一郎の声で主人の帰宅に気づいたらしく、牧草を咥えたまま勢いよく彼のもとへ駆けてきた。


「か、かわっ、あ……可愛い……っ」
「ありがとうございます。小日向さんも、サークルの中に入って構いませんよ」
「えっ……! あ、じゃあ、お邪魔します……!」