『それに……ひなこは、その人のどこが好きなの? 見た目以外に、どうして好きになったの?』
「え……」


 恋幸はとっさに言い返す言葉が浮かばず、力なくぽすりと椅子に腰を下ろして画面向こうの千を見た。


(……あれ? 私、)


 考え込む今の彼女の耳には、


『……私は……そんな男に、ひなこを渡したくないよ。一番そばに居て、ずっと見てたのは私なのに……』


 千の落としたそんな呟きは届かない。