むきになった恋幸は、千にとって何の得もない裕一郎の細かい癖などを5分かけて熱弁する。
 そして、満足げに片腕で額の汗を拭った。……が、今の恋幸は立ち上がったせいでカメラの範囲外にいるため、千には5分前から首より上が全く見えていない。


「ふう……」
『ひなこ、ただの変態じゃん……』
「へっ!? へへ変態じゃ、ない……はず!!」
『なんでちょっと自信無いの』


 声音からなんとなく恋幸の表情が想像できた千は、彼女の反応につい「ふふ」と小さな笑みをこぼしてしまったが、すぐに咳払いをして姿勢を正す。