画面の向こう側で頬杖をつき、千がどこか恨めしげにこぼしたセリフを聞いて恋幸はハッとする。


「あっ、えっ。そ、そっか……デート、だったんだ……?」
『何で疑問形なの……男と女、しかも片方に好意がある状態で仲良くお出かけしたなら、それはまごうことなきデートでしょ』
「そ、そう、なんだ……」
『そうでしょ……!! 仮にも恋愛小説家なんだからしっかりしな!?』


 そうは言われても、デートの3文字を大好きな裕一郎と共に体験したのだと改めて実感した途端、恋幸の頬は緩みきりニヤニヤが隠せなくなってしまった。

 そんな彼女の様子を見て、千は不愉快そうに眉をひそめる。