彼女はこの『モヤモヤ』の正体を突き止めるため、彼とやって来た雑貨店で頭を悩ませつつショーケースに飾られていたウサギの置物を手に取った。


「……可愛いデザインですね」
「倉本様も、こういう物が好きなんですか?」
「ええ、まあ。……小日向さんは、それが気になりますか?」
「……あの、倉本様……買ってほしいわけじゃありませんからね?」
「はい、わかっていますよ」


 本当にわかってくれてるのかなぁ、と恋幸は頬を小さく膨らませて裕一郎の顔を仰ぎ見る。
 綺麗な空色の瞳が店内の照明を映してキラキラと輝いている様は宝石に似ており、彼女はほうと恍惚(こうこつ)の息を漏らした。