恋幸の心は今、言葉では言い表し(がた)い『モヤモヤ』に侵食されていた。

 整った外見に加えてこれまでの態度や発言から、てっきり裕一郎は女性経験豊富な男性だとばかり思っていたのだが、それは自分の勘違いだったのではないか? と恋幸は考える。
 たしかに、エスコートや接触の仕方はとても手慣れているように感じるけれど、()に落ちない『何か』が存在しているのだ。


(うーん……なにか、こう……)


 まさか交際経験0のわけがないと恋幸は思うものの、今まで誰とも付き合ったことがない方が嬉しいのは当然の心理である。