言い終えるなり、恋幸は先ほど一目惚れしたレモン柄のワンピースと店内にあったその他諸々(もろもろ)をカゴに詰め込み、プンスカという効果音がぴったりな様子でレジへ向かう。


「……お財布じゃない、か」


 そんな彼女の耳に、裕一郎のこぼした呟きが届くわけもなかった。