「ちがっ……私、違います……! そんな、強請(ねだ)ったわけじゃありません……!!」
「……? 知っていますよ」
「なので、気持ちだけ受け取っておきます……! 欲しい物は自分で買いますから……!!」


 そう答えた恋幸に対し、裕一郎は「なぜ?」と首を傾げ心底不思議そうに目を丸くした。


「なぜもなにもありません! 倉本様は私の『お財布』じゃなくて『1人の大切な人』だからです! そして、私は自分でしっかり稼いでいるからです!!」
「――っ!!」