「小日向さん、これが欲しいんですか?」
「えっ?」


 変わらない表情と共に告げられたその言葉は、恋幸を新たな混乱に陥れた。


「え、っと……はい。欲しいなぁと思いますけど、」
「そうですか、プレゼントしますよ。他にも何か欲しい服や小物があれば教えてください」
「……っ!? 倉本様、待ってください……!!」


 すたすたと店内に入りショーケースからディスプレイと同じワンピースを探して手に取ろうとした裕一郎の腕を、恋幸は慌てて掴み小声で呼び止める。