「え、えっと……それじゃあ……」





 恋幸が希望したのは、贔屓(ひいき)にしているブランド・ajes fammeのショップだった。

 はじめは、女性服を見たところで裕一郎は退屈してしまうだけなのではないだろうか? と遠慮して他の場所を提案した彼女だが、そんな考えも顔に出ていたらしく裕一郎にはすぐに勘付かれ、「どこでも好きな場所を、と言ったでしょう」と念押しされてはもう断る言い訳も浮かばない。

 そうしてやって来たわけだが、恋幸は着いて早々ショーウィンドウに目を奪われていた。