裕一郎は画面に表示されたルートを指先でなぞって説明するが、“その”せいで恋幸の頭の中は「裕一郎様の指、長くて綺麗……」や「わかりやすく説明してくれる裕一郎様、優しさの(かたまり)だ……」などといった思考に支配され、肝心の『話』は右耳から入りそのまま左耳を出ていってしまう。


「……の、ですが……それで、どうしますか?」
「……えっ!?」


 何がでしょうか? と言いかけて恋幸は直前で言葉を飲み込んだものの、裕一郎は彼女の顔を見るなり全てを察した様子で目を細めた。