さすがの恋幸といえど、本人に対して真っ向から「貴方ですけべな妄想をしていました」と暴露するほどバカではない。
 むしろ、この状況下で素直に1から100まで打ち明けるような人間なんてこの世に存在するのだろうか? と恋幸は一丁前に考える。

 彼女なら「素直に話さないのであれば今すぐ帰りますよ」と彼に脅されれば1から1000まで吐きそうだという事はさておき……様子のおかしさに裕一郎はやや眉をひそめつつも、あえて追求することを避けカーナビの画面を指さした。


「目的地について言っていませんでしたね。ここに行くつもりなので、あと5分程度で着きます」
「へ、へぇ~!」