洒落にならない怒号に吠えられて、ビクッと 肩を揺らす。
遠くの山間に消えていく太陽は名ばかりか、「あと二日、」と声に出したら左右に首を振られた。
そうか。お前が諦めたら全部は終わってしまうのに、それでも抗えないものがあるんだ。
「………どこいくん」
「どこだろな」
「決めてないんかい」
「今日の終わりが一番綺麗に見えるとこ」
そう茅野があんまり切なげに笑うから、もう来ない明日を思って泣いてしまった。
「台風くんだと」
なんであと二日じゃねーのとか、諦めないでーってあの女優の真似をしたりとか、負けないでーとか歌っていたらそれら全部をスルーしていた茅野にさらりと告げられた。
台風か。あのガキ大将みたいなやつ。これからの時期はあいつがクラスを掻き乱して我が物顔で立ち振る舞うんだと思うと吐き気がした。自分に頭が上がらないのをいいことに、靴の裏でも舐めてもらおうか。
(いやきめぇからやめよ)
そして、そんな存在が蹂躙するために、自分が大切にして来たもの全部掻っ攫われてしまうと思うと吐き気がした。