「僕はその日、とあるひとの物語を読んだ。称賛に値すると思った、感動した。だから自分なりに言葉を押し並べて、とっておきの飾りつけと共に彼女に言葉を送ったよ。彼女はありがとうと言った。嬉しい、涙する、そう言葉はあったけど、特にそれ以上の言葉はなかったんだ。よくよく見てみたら彼女は多くに認められていて、いつも誰かの目に止まっていた。僕の感動や飾った言葉のプレゼントも、所詮その多くの一部に過ぎなかった」
《彼女の特別にでもなれると思っていたのか、お前》
「救われた、泣いた、嬉しいだなんて言葉だけじゃどこまでが本当かわからない。寄り添ったつもりでいたよ。僕はでも彼女の全てで、彼女になくてはならない存在で僕もそうであるべきだった。だって言葉を送るんだ、僕の人生の時間を君に携えて、それなのにそれっぽっちじゃだめだ。君が僕がいなきゃいないと立ってられない、それくらいでないと割りに合わないよ」
《そんなのはただの依存》
「中途半端に立ち上がるくらいなら言葉の波に溺れて消えろ、大衆の一部なんてまっぴらだ」
僕の一部。時間という人生を君に捧げたのだから君も僕に何かを頂戴。それは言葉じゃなくていい。中途半端に崩れそうなきみ、へし折れる手前で踏みとどまったなら僕に寄りかかれば良かったのだ。
「僕のものにならないなら死んでしまった方がマシ」
手に入らないなら死んでくれと僕は君に言うだろう。