わたしの目には泰司の心の奥底がはっきりと見えていた。
 わたしのせいで罰せられているのに、泰司はわたしを気遣っていた。力のない自分を責めていた。代々の泰司の中でも術力が劣る今の泰司は、己を責め次に泰司となる陽太をより厳しくしごかねばならないと考えていた。
 わたしは何度もやめてと父にすがった。父は決して手を緩めることはなかった。
「月子。人が見えぬものを見るおまえは、けっして自由にその目を開いてはならぬ」
 父もまた心の奥底でわたしを恐れていた。それがどれほど悲しいことか。それ以来、わたしは月一度のお勤めの時以外に目隠しを外すことはしないと誓った。
 依里も眠りについた夜更けに、わたしは庭へ彷徨い出た。
 陽太の光を少しでも感じたかった。
 けれど、屋敷のどこにも陽太の光は見えなかった。
 次の日の朝も、学校へ行くはずの陽太の姿はなかった。