わたしは依里の手を振り払った。雨を含んでいつもより不快な目隠しを外したくてたまらなかった。
 地響きのような大きな音をたてて雷が近くに落ちたようだった。
 小さく悲鳴を上げて依里が動いたのが分かったが、わたしは音のした方にかすかな光を見たような気がしてじっとそちらに意識を向けていた。
「お嬢様、もう帰りましょう。風邪をひいてしまいます」
 依里の声を無視してわたしは歩き出した。ただ一点、光の灯る方向へ。