暗闇の中で微かな光を探す。森の中で一本の木を見つけるよりずっと簡単なはずだった。それなのにどちらを向いても暗闇のまま、耳は森の中にこだまする音をつぶさに拾うのに、目は一点の光さえ見つけられない。
「やめてください、お嬢様。私が間違っておりました。陽太がいなくなればお嬢様は私だけを頼りにしてくださると思っていました。依里が間違っておりました。もうおやめください」
「依里、お前、陽太の居場所を知っているの?」
依里が激しく震えている。足元から冷たい風が吹き上げてくる。そしてポツリと頬に冷たい雫が落ちてきたかと思うと、激しい音をたてて雨が降りはじめた。遠雷が鳴り響く。
「この先に洋館があります。そこで雨宿りを……」
雨音に紛れて依里のか細い声が聞こえた。
「やめてください、お嬢様。私が間違っておりました。陽太がいなくなればお嬢様は私だけを頼りにしてくださると思っていました。依里が間違っておりました。もうおやめください」
「依里、お前、陽太の居場所を知っているの?」
依里が激しく震えている。足元から冷たい風が吹き上げてくる。そしてポツリと頬に冷たい雫が落ちてきたかと思うと、激しい音をたてて雨が降りはじめた。遠雷が鳴り響く。
「この先に洋館があります。そこで雨宿りを……」
雨音に紛れて依里のか細い声が聞こえた。