ピィーーーー松明でーーーーーーーーーーー
   ピィーーーーーー探せーーーーーーー

私を殺してください、貴方のキスで。
たとえ貴方が
最果ての海の彼方の岸辺にいたとしても、
これほどの宝物を、手に入れるためならば
危険を冒してでも、必ず私は海に
出るでしょう。

ピィーー女はーーーー
     ピィーーーーー逃げたぞーーーーー

『はあ、はあ、は、あ、、、はあ、!』

~わたしは誰かの目線になって走る。~
~捕まる訳にはいかぬと、思いながら全力で目指すのは、、~

~母星戦艦の連絡艇!!!~

ピィーー見つけたーーーー
     ピィーーーーーあそこにーーーーー

・・・・・・・・

     ・・・・・・・・・・・



ピチョン、、

   ピチョン、、

(明晰夢?)


 額に滴る水滴が瞼を伝う感覚で、わたしは覚醒したのだけれど。

「此処は、何処なの、、」

 眼の前に見えるのは、細長く続く蝋燭の灯り。

(洞穴?それとも坑道みたいな?)

 ヒヤリとした空気が流れる薄暗い空間は、不自然なトンネルにも感じもするのだけれど。

「カンジ!!「カンジ!!「何処?!」」」


 左右に伸びる岩肌に、わたしの声が響き渡ると、木霊する声は風音と一緒に混ざり、バラバラと暗い穴の奥へと吸い込まれる。
 カンジを呼べども返事はない。其んな事は、わざわざ声を出して叫ばなくとも、わたしには解っていたのに。

(側にいるなら、カンジは必ず抱き込みに来るもの。)

 そうでないならば、カンジとは別に離されたのだと容易に推測できる。

日の光が全く感じられない穴倉。

揺れる蝋燭の光で、全くの闇ではないのが救い。全くの闇ならば、数分と保たないだろうから。
 何よりも、手に触れる壁は、

(脆い!)

砂岩なのか、それとも人工物なのかは、光源が少なく判別が難しい。

(此処へ連れてきたのは、あの小男なのは間違いないわね。カンジに執着していたから、邪魔者の わたしは飛ばされたという事?)

立ち上がって、歩いてみても、似たような闇の穴で方向感覚が分からなくなっている。勿論、出口など検討もつかない。
 指を立てて風を読むも、乱気流の様な空気の流れか、難しい。

「リヴァイブ、してみる?」

此処が何処なのか分からなければ、カンジを探し出す事は出来ない。此の闇と蝋燭が続く穴の正体を暴いて、脱出するには、、

(ヒントになる事が、此の土地の記憶にあるかもしれないとう可能性だけよね。)

わたしは肌身離さず隠し持つ、ベルを取り出した。
 問題は、カンジの力が混合した事で発生するリアルリヴァイブ状態だけ。

(でもやるしかないわ。)

ᛋ-ᚻᚪᚱᚪーーー....ᚾ.......
ᛋ-ᚻᚪᚱᚪーーー....ᚾ.......
最初のベルが
空間に
響き渡れば

リーーーーーーーーンンンンン
リーーーーーーーーンンンンン

大きく息を吸い込んで
呼吸を糸に。


区域設定は此の洞窟内。
そして、
両中指に嵌まるベルで
定める
時間と土地の座標レベルは、

「オーバーリヴァイブ。」

時間軸のポイントを
1つに絞らず、
鎌倉期から江戸期の帯へ。
ᛋ-ᚻᚪᚱᚪーーー....ᚾ.......
ᛋ-ᚻᚪᚱᚪーーー....ᚾ.......

ゆっくりと
胸に提げたベルを
両中指に嵌め
腕全体を使って『印』を
厳かに型取る。

ᛋ-ᚻᚪᚱᚪーーー....ᚾ.......
ᛋ-ᚻᚪᚱᚪーーー....ᚾ.......

再幻影粒子が 霧の様に
土地の記憶が
沸き
立ち上りゆけば

.*゜。
ザワザワ
ザワザワ*。.゜**.

ーーーーンンンンン.
リーーーーーーーーンンンンン
ザワザワ゜.*.゜。*..

ザワザワ『 namaḥ sama
nta-buddh ānāṃ
maṃ he he kumāraka

記憶の霧に
ゆうっくぅりと
包まれ

vimukti-pat
ha-sthita smara

smara pratijñāṃ svāhā、、

ザワザワ.*。*.゜。*

.゜**.
゜。.゜。*

『ナマハ サマンタブッダーナーン アー ヴェーダヴィデー スヴァーハー、、『、、
リーーーー、埋め尽くす

...リーーーーーーーーンンンンン
ザワザワ
ノウマク・サマンダボダナン・ア・ベイダビデイ・ソワカ.*。゜*

流れていく。....ザワザワ

真言、

.*゜。*
『 om duḥkha
ccheda dham
。*゜*. .*゜。*』

浮かび上がるは

「!!!!?」

ノミを手に
洞穴の壁天井に彫り付ける
帯びたしき修行僧の姿
僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧
      僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧
 僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧

僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧僧

僧群が唱えし真言の音声が
万重奏と重なり宇宙を創る
.*。゜*。゜.*.。゜.゜ . *
Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ
Ⅰ Ⅰ Ⅰ Ⅰ

わたしの前に

およそ700年程の 記憶が
仮想風景として
影牢となり
現れ、

「これは、、人工の洞窟聖域、、秘められた、、修験場。」


修行僧達が長い時間を掛け、
洞穴の壁や天井へと彫り物を
しながらも、
真言を唱え、、


霧から再幻影粒子が象に
変幻する。

リーーーーーーーーンンンンン
リーーーーーーーーンンンンン
.*『...゜。
ザワザワ
ザワザワ*。.゜**.

わたし自身が記憶する、
膨大なメガデータの海から
此の場所を探る。

それでも無数に浮かぶ予測座標。

「聖域は映像化されてないか
ら、、圧倒的にデータ不足ね。」


偽られる事の絶対ないシネマを
仮想空間で体験しても、
情報化されていない場所は、
判定しかねる。

リーーーーーーーーンンンンン
リーーーーーーーーンンンンン
.*『マテ、ムコウニニゲタゾ゜。
ザワザワ
ザワザワ*。.゜**.


「!!!!」


(何?さっきの夢とリンク?)

『ニガスナ、、』

ガチャンガチャン!

『はあ!はあ!はあ!、!━』

闇の向こうに立ち込める
幻霧から、
無数の僧など目もくれず、
突然!!
ひとりの甲冑武将が走り込んで!
わたしに突進する!!

「きゃっ!!」

咄嗟に顔に手を掲げて防ごうと、
した瞬間!
武将の影が、わたしをすり抜け
反対の闇へと消えた!!

(あれは!!)