何とかレッドフロッグを倒した後、倉魔法で取り出したバイタル・ポーション(B)を飲み、泣いているセシルを連れて家の中へ。
アーニャやララさんからも、無茶をし過ぎだと心配され、実家へ来ていた患者さんのように、クリニック側のベッドに寝かされてしまった。
ポーションで回復したから大丈夫だと言ったのに、セシルが何かあるとダメだから一緒に寝ると狭いベッドに潜り込み……眠かったのか、安心したのか、すぐに寝息を立ててしまう。
そのせいで、俺も身動きが取れずに寝るしか出来なくなってしまい、初めて生きるか死ぬかという体験をしたにも関わらず、案外早く眠る事が出来た。
その翌朝。
アーニャの馬術がいろいろと大変だった事を踏まえ、歩いて街へ戻る事にしたのだが、ララさんはギルドへ戻って今回の代金の清算をする為、先に馬で帰っていった。
平和な――魔物が出ても、セシルが秒で排除する――草原を歩き、蛙と戦っている時に吸い込まれていったヘビの話になる。
「ヘビは大量の蛙を食べようと川に来たけど、竜巻が発生しているから離れて様子見していたんじゃないかと思う」
「お兄さん。ヘビって、そんなに賢いのかなー?」
「私はリュージさんの意見に賛成です。患者さんの中には麻痺毒の症状の方も居られたんですよね? ヘビは麻痺毒を持つ種類が大半だと思いますし、その毒も川に流れていたのではないかと」
真相は分からないが、いずれにせよセシルの強化版竜巻で殆ど吹き飛ばされただろうし、蛙共々解決と思って良いだろう。
それから、お昼ご飯を食べたり薬草を摘んだりしながら、夕方前に街へ着く。
「リュージさん、こちらへ」
街の門で待ってくれていたララさんに連れられて商人ギルドへ行くと、小さな革袋が渡された。
「街の皆さんを診察してくださった診察代とポーションの代金です。それと、今日は是非街で泊まってくださいませんか? 街の人々がお礼を言いたいと話していましたので」
「ありがたい申し出なのですが、実は俺たちにも行かなければならない場所があるので、乗合馬車で次の街へ行こうかと」
「そうですか……プランC! そういえば、まだ王都とは乗合馬車が復活していないのに、森を抜けて来られたんでしたね」
ララさんがプランCというよく分からない事を叫んだかと思うと、再び世間話となる。
出来ればそろそろ乗合馬車の停留所へ移動したいのだけど、うだうだと思い出話みたいなのが続く。
何だか、ララさんが俺たちを引き止めようとしている様にも思えた所で、
「……では、準備が整ったようですので、参りましょう。乗合馬車の停留所までご案内いたします」
何の準備だ? と思いつつ、ララさんに促されてギルドを出る。
すると、
「聖者様! ありがとうございます!」
「聖者様! またこの街へ来てくださいね!」
「聖者様! 貴方様の旅の無事をお祈りいたします!」
大勢の街の人――主に女性がギルドから長い列を作って、叫んで居た。
「ララさん、これは?」
「本当は宿でおもてなしをしたかったのですが、急ぎの旅だという事でしたので、無理に引き止める事は出来ないかと思いまして」
「まさか、俺たちのために街の人を集めたんですか?」
「いえ。これからリュージさんが街を出るとお伝えしただけです。すると、リュージさんに助けてもらった人たちがせめてお礼を伝えたいと言い、こういう事になりました」
ララさん。気持ちは嬉しいんだけど、出来れば普通に街を出たかったよ。
「あの、みんなが叫んで居る聖者様って?」
「もちろんリュージさんの事ですよ。街全体に流行っていた症状を治し、その原因となる魔物を退治してくださったのですから当然です」
「どうして街の人が、魔物を倒した事を知っているの?」
「それはもちろん、私が皆に言って回りましたから。リュージさんはこの街の救世主で、まるで聖者のようなお方だと」
聖者なんて呼ばれているのはララさんのせいかっ!
恥ずかしいからマジで勘弁して欲しい。
乗合馬車に乗ってからも聖者コールが鳴りやまず、とはいえ隠れる訳にもいかず、引きつった笑顔で街を後にする事となった。
アーニャやララさんからも、無茶をし過ぎだと心配され、実家へ来ていた患者さんのように、クリニック側のベッドに寝かされてしまった。
ポーションで回復したから大丈夫だと言ったのに、セシルが何かあるとダメだから一緒に寝ると狭いベッドに潜り込み……眠かったのか、安心したのか、すぐに寝息を立ててしまう。
そのせいで、俺も身動きが取れずに寝るしか出来なくなってしまい、初めて生きるか死ぬかという体験をしたにも関わらず、案外早く眠る事が出来た。
その翌朝。
アーニャの馬術がいろいろと大変だった事を踏まえ、歩いて街へ戻る事にしたのだが、ララさんはギルドへ戻って今回の代金の清算をする為、先に馬で帰っていった。
平和な――魔物が出ても、セシルが秒で排除する――草原を歩き、蛙と戦っている時に吸い込まれていったヘビの話になる。
「ヘビは大量の蛙を食べようと川に来たけど、竜巻が発生しているから離れて様子見していたんじゃないかと思う」
「お兄さん。ヘビって、そんなに賢いのかなー?」
「私はリュージさんの意見に賛成です。患者さんの中には麻痺毒の症状の方も居られたんですよね? ヘビは麻痺毒を持つ種類が大半だと思いますし、その毒も川に流れていたのではないかと」
真相は分からないが、いずれにせよセシルの強化版竜巻で殆ど吹き飛ばされただろうし、蛙共々解決と思って良いだろう。
それから、お昼ご飯を食べたり薬草を摘んだりしながら、夕方前に街へ着く。
「リュージさん、こちらへ」
街の門で待ってくれていたララさんに連れられて商人ギルドへ行くと、小さな革袋が渡された。
「街の皆さんを診察してくださった診察代とポーションの代金です。それと、今日は是非街で泊まってくださいませんか? 街の人々がお礼を言いたいと話していましたので」
「ありがたい申し出なのですが、実は俺たちにも行かなければならない場所があるので、乗合馬車で次の街へ行こうかと」
「そうですか……プランC! そういえば、まだ王都とは乗合馬車が復活していないのに、森を抜けて来られたんでしたね」
ララさんがプランCというよく分からない事を叫んだかと思うと、再び世間話となる。
出来ればそろそろ乗合馬車の停留所へ移動したいのだけど、うだうだと思い出話みたいなのが続く。
何だか、ララさんが俺たちを引き止めようとしている様にも思えた所で、
「……では、準備が整ったようですので、参りましょう。乗合馬車の停留所までご案内いたします」
何の準備だ? と思いつつ、ララさんに促されてギルドを出る。
すると、
「聖者様! ありがとうございます!」
「聖者様! またこの街へ来てくださいね!」
「聖者様! 貴方様の旅の無事をお祈りいたします!」
大勢の街の人――主に女性がギルドから長い列を作って、叫んで居た。
「ララさん、これは?」
「本当は宿でおもてなしをしたかったのですが、急ぎの旅だという事でしたので、無理に引き止める事は出来ないかと思いまして」
「まさか、俺たちのために街の人を集めたんですか?」
「いえ。これからリュージさんが街を出るとお伝えしただけです。すると、リュージさんに助けてもらった人たちがせめてお礼を伝えたいと言い、こういう事になりました」
ララさん。気持ちは嬉しいんだけど、出来れば普通に街を出たかったよ。
「あの、みんなが叫んで居る聖者様って?」
「もちろんリュージさんの事ですよ。街全体に流行っていた症状を治し、その原因となる魔物を退治してくださったのですから当然です」
「どうして街の人が、魔物を倒した事を知っているの?」
「それはもちろん、私が皆に言って回りましたから。リュージさんはこの街の救世主で、まるで聖者のようなお方だと」
聖者なんて呼ばれているのはララさんのせいかっ!
恥ずかしいからマジで勘弁して欲しい。
乗合馬車に乗ってからも聖者コールが鳴りやまず、とはいえ隠れる訳にもいかず、引きつった笑顔で街を後にする事となった。