夏休み入ってから、一日ぶりの二回目。

 何処か涼しい所で話そう。っていう流れになったので、やってきたのはスイーツユニオンの活動拠点。公園内にある、毎度お馴染みの喫茶店だった。

 まさか二日連続で来るなんて思っても無かった。

 店員から見れば、いつも違う女の子を連れて来てるって思うかもしれない。違うんだ。俺の周りに女子が多いだけで、一番好きな子はたった一人だけなんだ。

「それでは、聞かせて貰えますか。皆結希さんのこと」

 にっこり微笑むタマキさんを見て、本当に血が繋がっているんだなって思った。

 ほたるさんの髪をストレートにして、カチューシャ付けて貰って、並んで欲しいって思うくらいだった。それを写真に撮って、わかば先輩に送ってみたのなら。どんな反応をするんだろうか。

「というか、タマキさんもわかば先輩と、そんな会ってないんですか?」

 ほたるさんの場合は、全然会ってないから知りたい、って話だったけれど。南タマキさんも、同じ感じなんだろうか。

「え、ううん。部活が同じなのもあって、ほぼ毎日会ってます……ね」

 口を動かす度に何故か、それに連動して彼女の顔が赤くなっていく。

「……けど、はい。知り……たい、んです」

 そこまで言った頃には俯いて、耳まで真っ赤になっていた。何故かモジモジしているし、空調が聞いてるのに額からは汗がにじんでいた。

 店員さんがアイスココアを俺に、白いジュースを南タマキさんの前に置いていった。

 この乳酸菌飲料って、確か梨花がCMしていた奴だ。アオさんもこれをよく飲んでいるし、彼女も梨花のファンなのかもしれない。

「とりあえず、いただきます」

「あ、はい。どうぞ」と少し慌てて南タマキさんは顔を上げた。ほたるさんと違って、南タマキさんは普通の高校生なので。デザートまで奢られるのは、忍びなかった。

 それでも一日で二回も、わかば先輩の従妹に奢らせているっていう事実はある。あの人の情報って、彼女達にとってどれだけの価値があるっていうんだ。口にしたココアは冷たいのにクリーミーで、何処か優しい味がした。

「あれ」と南タマキさんが飲み物を口にして、顔を上げた。

「わたしも……って、どういう?」

 わたしも、って。何だろうと、先ほどの会話をイチから紐解いてみる。答えは、すぐに出てきた。タマキさんも、わかば先輩と会ってないんですか。の部分だ。

「しまった」

 思わず、しまったって声が出てしまった。

 さっき、ほたるさんに会って、同じような話をされたって。それって、言って大丈夫なんだろうか。俺は自然と腕を組んで、考えるような仕草を取ってしまった。

「……このクレープって、美味しいの?」

 目を開けると、南タマキさんがメニューを俺の方へと広げていた。いきなり魅力的な子達の写真を目の前に見せられて、大きく頷いてしまう。

「勿論ですよ。ここのはですね、普通のと違って円筒状で出てくるんですよ。味も何十種類もあって、どれも外れなし。特に今は新商品で、抹茶のが出てまして……」

 気づいたら、南タマキさんは店員さんを呼んでいた。ほたるさんと同じように微笑んで、俺にメニューを指さしている。これは注文しないと、いけない流れになってしまった。

「……し、白玉チョコの抹茶クレープを」

 俺は昨日、相原が頼んで、口に出来なかったメニューを言ってしまった。かしこまりましたと言って、店員は下がっていってしまったのだった。