「やぁ、似合うじゃないかふぶき」
 皆の注目がふぶきに集まる中、紅が見回りから帰ってきた。
「紅さま‼︎」
 子どもたちが一斉に彼に飛びついた。
「おかえりなさい‼︎」
「ふふふ、ただいま」
 そう言って彼は子どもたちひとりひとりの頭を撫でてやっている。
 のぞみは彼に説明をした。
「こづえさんが用意してくれたんです。氷の国の王女さまのドレスなんですよ」
 紅がふぶきに微笑みかけた。
「本物の姫みたいだよ」
「うふふ」
 ふぶきが嬉しそうに、頬を染めた。
「ふぶきさまは、本物の姫さまですよ!」
 伊織が青筋を立てるのを無視して、紅は持っていた袋をガサガサとする。そして中からあるものを取り出した。
「じゃあその王女さまに、ちょっとお手伝いをお願いしようかな」
「わらわに?」
「そう、ふぶきにしかできないよ」
 そう言う紅が手にしている物がいったいなんなのか、その場にいる中でのぞみだけがわかった。
「あ! かき氷ですね!」