Side悠木

人間というのは、この世界で最も強欲な生き物だ。
生きているだけで罪を犯す存在だ。
あるはずのものには目もくれず、なくしたものばかりを追いかける。
追いかけ続けて、そして追い詰める。
そんなことを私たちは繰り返す。
それは、僕と君も、同じだったね。
君は僕にちっとも振り向いてくれない。
僕はそんな君を追いかけ続けたね。

ねえ、雪穂。
聞こえる?
僕が君のために選んだ選択は、君にとっては正しいことだった?
それとも、間違っていたことだった?
僕は結局、どちらでもいいんだ。
君に、答えを聞くことができるのであれば。

それこそが、僕の選択は僕にとっては正しいことであると証明することなのだから。

「彼らはどうかな……」

僕は、君のために、僕と似た彼らから、僕にとっての君と同じような存在を奪おうとしている。
けれど君と、その存在とでは決定的な違いがある。


生きたいか、死にたいか。



ねえ、雪穂。
聞こえるかい?
死を選んだその人を、君のために使うことは……そんなに罪なことかい?
だって、僕はどちらの願いを叶えることになるのだから。